腹が減らない程度に思い出を持っていれば良いのか
思い出にしか生きられない私はどうすれば良いのだろうか
甘いふんわりした空気の中
雲のような場所で生きてきた私はこれからどうなるのだろうか
誰を生かして誰を泣かせて
誰とすれ違って誰をやさしく撫でるのだろう
誰とともに生きるのだろう
誰の墓を拝むのだろう

1年がすぎ 傷だらけになった玄関で
酸素をたべて薬でのたうち回った
2年すぎて遠い街で笑って暮らした
穏やかな青い街で皆が泣きながら
でも笑って暮らした 幸せだった
3年目は白い車が迎えにきて
世田谷の大きな白い家で暮らすことになった
気づいたら4年経って
わたしはずっと持っていかれない不燃ゴミのように
冷たい雨の下でただただ
誰かのふかふかで暖かい手を待っていた
ついていっては蹴られ
七色に光る川に捨てられ
その度に大きな手がひっぱってくれた

自分のものじゃないあたたかさ
とおくにひっぱっていってほしい
ずっとずっとずっとずっと今まで不安だった
怖くておおきなものに食べられそうで

お日様と青い空があれば嬉しかった
きれいな街を思い出して帰りたいって泣いた
あのときも綺麗なさくらが咲いていた
見せてあげたかったんだ
それだけだ
ずっとずっときれいなものを見せたかった
動かしてくれたのはあの人だった
あの人のことを裏切ってばかりだった

絶対的なものなんて今考えればあるはずないのに
頭の悪かったわたしはそれを信じて
ぽつぽつ歩きながら来たけど
やっぱりそんなものどこにもなかったし

いまある課題が片付いたら
わたしもいっぺん終わりにしたい
もう泣くのも笑うのも飽きてしまった

一瞬で流れていってしまう儚い現実を
何度も何度も見失ってしまった
こうしている間にも時間は止まらないし
きらいなものがこれ以上増える前に
どうにかしてシャットダウンできないかと
そればかり考えてしまう